住宅ローンは頭金なしでも組めるけど危険?デメリットや注意点を解説

住宅ローン 2023.02.22

本ページはプロモーションが含まれています。

頭金とは、住宅ローンで融資されるお金とは別に、最初に自分の懐から用意するお金のことを言います。

「貯金がなくて頭金が用意できないから住宅ローンで全てを支払いたい」
「頭金がない場合でも住宅ローンは組めるの?」
と思っている方へ、今回は頭金なしの住宅ローン(フルローン)について、注意点やメリット・デメリットを解説していきます。

頭金なしでも住宅ローンの審査は通る

現在は頭金がなくても、融資をする金融機関の審査に通れば住宅ローンは組めます。

一昔前まで頭金は住宅購入総額の2割を用意しておくことが常識でした。
これはかつて物件価格の8割までしかローンを組めない融資機関が多く、2割を払えなければローンを組むことができなかったためです。その名残から今でも2割の頭金が理想だと言われることもあります。

しかし融資案件を増やしたい貸し手側の思惑もあり、次第に審査基準が緩和。近年では頭金なしでも問題ないとする金融機関が増えています。

住宅ローン審査の緩和はあるものの厳しく見られる可能性あり

頭金がある場合に比べて頭金なしは借入金額は増えるため、審査の際には厳しく見られることがあります。

融資を行なった金融機関は物件を売却する権利(抵当権)があります。住宅ローンが払えなくなった場合に、残った住宅ローンはこの売却物件の金額で回収することになります。
しかしこの物件が住宅ローンの残高より安くなってしまう可能性があります。その場合、残高を全額回収できず損をするのは金融機関です。金融機関もこのようなリスクを減らしたいため、より力を入れて審査を行います。

頭金の平均額、頭金なしで組む人の割合は?

そもそも頭金はいくら用意すればいいのか、という疑問もあると思います。

国土交通省の「住宅市場動向調査報告書(令和3年度)」に注文住宅の建築費用の頭金平均金額が記載されています。頭金の平均額は約970万円〜約1300万円、自己資金比率は28.1%となっています。
この報告書には地域ごとの平均や資金の内訳も記載されていますので、参考にしてみてください。

一方、頭金なしで住宅ローンを組む人の割合はどれほどなのでしょうか。

2022年に三井住友トラスト・資産のミライ研究所が調査した結果によると、20~60代の住宅購入者が住宅ローンを頭金なしで組んだ割合は24.3%でした。30代に関しては、なんと38.6%にものぼります。

年代頭金なしの割合頭金1割程度の割合
全年代(トータル)24.3%19.7%
20~29歳26.8%11.6%
30~39歳38.6%26.9%
40~49歳29.6%22.8%
50~59歳23.8%21.5%
60~69歳16.4%14.7%
参照:令和の住まいと住宅ローン事情 2022年5月

ほとんどの年代で、20%以上の人が頭金なしで住宅ローンを組んでいる結果に。
1割程度の頭金でローンを組んだ人も多く、頭金を低くして住宅ローンを利用する人が増えていることがわかります。

頭金なしで住宅ローンを組むデメリット、危険性は?

頭金なしの住宅ローンには、以下のようなメリットがあります。

  • ・手元に資金を残せる
  • ・頭金が貯まるまで待つ必要がなく、理想の住宅をすぐに購入できるため住宅の買い逃しを防げる

しかし一方で、頭金なしの住宅ローンのデメリットや注意点も抑えておかなくてはなりません。
総額が3000万円の場合、頭金なしですべてをローンでまかなうのと、ある程度の金額を自分で用意しておくのとでは返済額が変わります。

頭金なしで住宅ローンを組むデメリットについて詳しくご紹介します。

借入金額が増えれば利息が増える

頭金なしの状態で住宅を購入すると、その分ローンの借入額が大きくなります。多く借りれば支払い利息も増えます。頭金がある場合と比べて、毎月の返済負担が増え、返済期間も長引くでしょう。
利息分の返済負担を減らすためには頭金が必要です。

融資率によって金利が変わることも

融資率(住宅価格に対する借入金額の割合)によっても金利は変わります。
【住宅費用3000万円 → 全額住宅ローン → 融資率100%】
【住宅費用3000万円 → 頭金300 → 融資率90%】

頭金なしの方が金利が大きくなることがあります。フラット35は融資率が90%を超えると金利が高くなります。

頭金があれば金利を下げるという金利優遇制度がある金融機関もあります。
各金融機関によって割合は変わりますので、検討する住宅ローン商品や金融機関でしっかり確認しましょう。

金利は0.1%や0.2%という差なので感じにくいかもしれませんが、住宅ローンは金額が大きく返済期間が長いため、総支払額を計算してみるとばかにできない金額になります。

返済ができなくなる可能性が高くなる

頭金なしの場合、毎月の返済額が増えるため少しでも収入が減るとローンによって生活が苦しくなってしまうこともあります。
コロナによって収入が大幅になくなり、住宅ローンが払えなくなってしまった…という方もたくさんいらっしゃったでしょう。

他にも返済の途中で失業してしまった、他に多額の出費が発生してしまった、退職金が思った以上にもらえないなど、返済期間が長くなるほど予期せぬことで返済不能になる可能性も高くなります。

毎月の負担額がどれくらいならある程度余裕を持って暮らせるかを考えて予算を決めていきましょう。

変動金利型ローンは金利の上昇で返済額が増える可能性も

住宅ローンの金利には、大きく分けて「変動金利型」と「全期間固定金利型」、「固定期間選択型」の3種類があります。

変動金利を選択した場合、固定金利と比べて「借入した当初の金利が低い」というメリットがありますが、「金利が上昇した際に予定していたよりも返済額が増えてしまう」のがデメリットです。
今後、金利は上昇傾向にあるといわれており「変動金利型」を選ぶ場合は注意が必要。
金利アップによる支払い額上昇に耐えられる範囲の金額を、自分に合った借入額と考えるのが良いでしょう。

仮に頭金なしで家を購入する場合、金利の影響を直に受ける「変動金利型」よりも安定性のある「固定金利型」を選んだ方が、返済計画が立てやすいといえます。

「固定金利型」は借入れ時の金利で返済額を確定するので、その後金利が上昇しても影響を受けることがありません。
その分変動型よりも金利が高いというデメリットはありますが、今後の金利上昇によって返済が困難になり、ローン破綻するというリスクを回避できます。

【関連記事】住宅ローンの選び方とは?種類や比較ポイントを解説

まとめ

  • ・頭金がなくても住宅ローン審査に通ることもある
  • ・頭金がある場合に比べて審査は厳しくみられる可能性あり
  • ・頭金なしでの住宅ローンを組む人は24.3%(参照 : 令和の住まいと住宅ローン事情 2022年5月
  • ・頭金なしのメリットは、手元に資金が残せる・頭金を用意する時間分、前倒しで住宅購入できること
  • ・頭金なしのデメリットは、利息が増える・金利が増える・返済できなくなる可能性があること

頭金なしでもありでも、マイホームを購入する際に大切なのは無理なく返せる「身の丈にあった借入額」を知ることです。

借入額が増えれば返済額も増えます。そこに日々の生活費や家自体の維持費などが重なれば、負担は増すばかり。提示された借入可能額をそのまま予算ととらえるのではなく、余裕をもって返済できる適切な借入額を把握しましょう。

【住宅ローン関連記事】

手続きから融資開始まで!住宅ローンの流れを徹底解説