「長期優良住宅」のメリット・デメリット、申請方法まとめ

2023.07.19

本ページはプロモーションが含まれています。

「優れた住まい」ということに基準を設け、様々な観点から総合的に判断され国からのお墨付きをもらった住宅が長期優良住宅です。「良い家」の判断材料のひとつにしたい住宅です。
将来的な運用も踏まえた上で、長期優良住宅にするか判断することが重要なポイントです。今回は長期優良住宅のメリット・デメリット申請方法をご紹介します。

長期優良住宅とは

2009年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」によって、長期優良住宅の概念が生まれました。

その背景には、環境問題や中古住宅市場の衰退、ストック型社会への転換の実現を目指す目的があります。
家をつくっては壊すスタイルは環境負荷が大きく、地球環境の面からも従来のスタイルからの脱却が必要です。

また、日本は住宅の寿命が30年ほどと短かったため、高額の住宅ローンを返済した後には建物の価値が評価されなくなってしまいます。そのため、住宅への投資が資本として残りません。
結果、家計に占める住居費負担の割合が重くなってしまい、豊かな社会をつくることが難しい状況です。

長期優良住宅は、良い家をつくり、きちんとメンテナンスをし、長く大切に家を使い続けていこうというものです。そうすれば、住宅を良好な状態で長く保ち、1世代のみならず次の世代へも住み継いでいくことができます。

長期優良住宅の取り組みには、日本の住宅価値の全体的な底上げ環境改善効果などが期待されています。
確かな品質と保証を望むのであれば、長期優良住宅という選択は大きな魅力とともに、安心材料と言えるでしょう。

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅のメリットは大きく分けて「住宅の資産価値が保てること」、そして「税制が優遇されること」です。以下で詳しく見ていきましょう。

資産価値をキープできる

これまで日本の家屋の資産価値は約20年でゼロに、家そのものの寿命も30年程度と言われてきました

しかし長期優良住宅は国の保証により資産価値が下がりにくく、家屋自体も適切なメンテナンスの継続で100年は保つとされています。

「税制優遇」が受けられる

長期優良住宅には質の良い家に安心して住めることのほかに、住宅ローン控除固定資産税・不動産所得税の軽減など、一般的な住宅より税制が優遇されるというメリットがあります。

うまく活用することで家づくりの費用負担を抑えることができます。

金利固定型住宅ローン「フラット35」を利用する場合、金利の引き下げ適用期間の延長なども可能です。うまく活用すれば費用面の負担が軽減します。

ただし、住宅ローン減税を受ける場合、住宅の床面積が50平方メートル以上であることや年収が3000万円以下であることなど、いくつかの条件があるので注意が必要です。

自分が該当するか、条件と照らし合わせて申請の前に確認しましょう。

長期優良住宅のデメリット

長期優良住宅には、「建築コストの増加・申請の手間」「定期的なメンテナンスの必要性」というデメリットもあります。以下で見てみましょう。

建築コストの増加・申請の手間

長期優良住宅の認定を受けるには、複雑な手順を踏んで申請し、第三者機関による審査をクリアする必要があります。

これには建築費とは別途に費用がかかるほか、審査基準に満たない場合は仕様を変更しなければなりません。また、住宅の完成後も定期的なメンテナンスが義務付けられているため、税制優遇があっても負担費用は大きくなる場合があります。
例えば、実際にミニークに寄せられた口コミの中にも、以下のようなものがありました。

高性能な長期優良住宅はどうしてもちょっと費用が高くなってしまうのですが、それだけの価値がありますし、長い目で見れば決して損にはならないと思います。(junko__721さん)

https://minique.info/rev/358/

税制面での優遇はあるものの、「長期的にみて費用を賄いきれるのか?」、「生活に負担はかかりすぎないか?」などを含めて考える必要がありそうですね。

定期的なメンテナンスを行う必要がある

長期優良住宅には「長期優良住宅建築等計画」に則った住宅の維持保全が義務付けられています。これを怠ると長期優良住宅としての認定取り消しや、30万円以下の罰金、税制優遇を受けた金額の返金を迫られるなどの罰則があります。

自治体ごとに定期メンテナンスの審査基準や報告形式が異なるのも留意したい点です。自治体によっては報告書の他にアンケートの提出を求められたり、報告を怠った場合の罰金額に差があったりします。

この義務は注文住宅の場合だけでなく建売購入にも適用されますので、購入時に計画内容をよく確認しましょう。

こうした税制優遇の条件や定期メンテナンスの詳細は年々変化していくので、常に最新の情報を集め、学んでおきたいところです。

住宅を取得する際、多くの人は建築費やローンの返済額に目が行きがちですが、長期優良住宅の場合は定期メンテナンス義務があるため、「ランニングコスト」にも注目する必要があります。

長期優良住宅に申請する流れ

長期優良住宅の認定申請は、大きく分けて以下の3ステップです。

  • ①認定基準に基づき設計計画を作成
  • ②認定基準に基づき設計計画を作成
  • ③登録住宅性能評価機関に審査を依頼

以下で詳しく見てみましょう。

①認定基準に基づき設計計画を作成

長期優良住宅の認定を受けようとする人(建築主または分譲事業者)は、まず「長期優良住宅の建築及び維持保全設計計画」を作成します。
この設計計画は、以下9つの項目ごとに定められた基準に基づいて作らなくてはなりません。この工程については、ハウスメーカーや工務店が基準を満たすように設計を行うので、細かく把握する必要はありません。

・耐震性
・省エネルギー性
・バリアフリー性
・可変性
・維持管理・更新の容易性
・住戸面積
・居住環境
・劣化対策
・維持保全計画

②登録住宅性能評価機関に審査を依頼

設計計画が完成したら、着工前に「登録住宅性能評価機関国土交通大臣の登録を受けて住宅性能評価を行う機関)」に審査依頼を行います。計画に問題がなかった場合、「確認書等(長期使用構造等である旨の確認書、確認の結果が記載された住宅性能評価書)」が発行されます。

③所管行政庁に認定申請を行う

その後、所管行政庁に認定申請を行い適合審査が開始されます。ここでも問題が無い場合、所管行政庁から「認定通知書」が公布され、初めて着工が可能となります。

長期優良住宅と建物の品質は無関係なので注意

長期優良住宅でも、施工の質とメンテナンス義務をしっかりチェックすることが必要になります。

長期優良住宅の技術的審査は書類上のみで、建築工事の着工後の検査はありません。そのため認定を受けていても、場合によっては欠陥住宅が建ってしまうというリスクがあります。

特にすでに建物ができあがっている建売の長期優良住宅を購入する場合は、自分が設計段階から関わっていない分、施工の質のチェックには十分注意を払いましょう。

まとめ

マイホーム購入で失敗しないためには、いかに下調べをするかが重要です。特に長期優良住宅のように複雑な制度を利用する場合は、自分たちにどれくらいメリットやデメリットがあるか、集めた情報をもとに総合的に判断しなければなりません。

生きた情報や知識を取り入れ、悔いのない決断をしましょう。

▼その他の家づくりの情報はこちら

注文住宅で後悔しないオプションは?種類は価格相場も紹介

高気密・高断熱の家とは?メリットとデメリットを解説

地震に強い家の特徴と地震に強いハウスメーカーの選び方