地震に強い家、弱い家の特徴とは?耐震性や構造について解説

2022.11.12

2011年に発生した東日本大震災は、人々に大きな衝撃を与えました。地震大国といわれる日本では、年々地震に強い家への関心が高まっています。
地震に強い家を建てるにはどうしたら良いのでしょうか。
今回は「住宅の耐震性」をテーマに、地震に強い家の特徴をさまざまな角度からご紹介します。
注文住宅の耐震性に関心をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。

耐震性は安心・安全に暮らすために欠かせない要素

そもそも、なぜ日本では地震に強い家が重視されるのでしょうか。
背景には、1995年に発生した阪神淡路大震災での甚大な被害があります。

阪神淡路大震災では、倒壊した住宅の下敷きになり、命を落とす人が多くいました。古い家だけでなく、比較的新しい住宅も耐震性が弱いものは倒壊しました。明暗を分けたのは、住宅の耐震構造だったのです。

また東日本大震災でも、基礎構造が強固な住宅は津波の激流にも流されず耐えたという報告があります。

いつ巨大地震が起こるかわからない日本において、地震に強い家は安心安全に暮らすために欠かせない要素なのです。

耐震強度を法律で定めた「新耐震基準」

もともと、1950年に設けられた住まいの耐震基準がありました。
しかし1978年に発生した宮城県沖地震の被害を受け、耐震基準を改定。1981年新耐震基準が適用されることになりました。それぞれの基準の違いは以下の通りです。

  • 旧耐震基準:震度5強程度の揺れで建物が倒壊しない。損傷しても補修すれば再び住める
  • 新耐震基準:震度5程度の揺れではほとんど損傷しない。震度6強から7程度の揺れでも倒壊しない

阪神淡路大震災以降、上記の新耐震基準に

  • ・木造住宅の基礎を地盤の強度に応じて設計する
  • ・住宅の骨組みである建材の接合部分を強化する
  • ・壁面を耐震化する

といった対策が加えられました。

3つのランクで表す耐震性能

新耐震基準は「震度6~7程度の地震で建物が崩壊・倒壊しない耐震強度」を最低ラインとしていて、「耐震等級」によって3段階にランク分けしています。

数字が大きくなるほど耐震強度が高くなり、各等級の強度は以下のように設定されています。

【耐震等級1】
震度5強の地震に耐え、震度6~7で損傷を受けても人命が損なわれないレベル
【耐震等級2】
等級1の1.25倍の耐震性を持ち、学校や避難所と同じレベル。
【耐震等級3】
等級1の1.5倍で、病院や消防署と同じレベル

現在多くの住宅で【耐震等級3】が採用されています。

耐震構造には「耐震、制震、免震」の3種類がある

地震に強い家を建てる上で大切な「耐震構造」。
耐震構造には、以下の3つの種類があります。

耐震

耐震とは、建物の構造を地震の揺れに耐えられるよう強化することです。

具体的には、太く頑丈な柱や梁で建物自体を支えるような構造が耐震にあたります。
近年では柱を筋交いにつなぐ建材を入れたり、柱と柱をつなぐ壁を強度の高い素材に変えたりして、壁自体が揺れを吸収するような横揺れに強い構造が主流です。

制震

制震とは、地震の揺れを吸収する構造のことです。

制震構造の特徴として、壁の内部に地震エネルギーを吸収するダンパー(振動軽減装置)を設置する点が挙げられます。
揺れによって建物に生じる歪みをダンパーが吸収し、柱や梁、壁の損傷を最小限に抑えられます。また、制震構造の建物の中では地震の揺れを実際のものより小さく感じるので、安心感を得られる点もメリットです。

免震

免震とは、建物自体の揺れを軽減する構造のことです。

建物と土台(基礎)の間に積層ゴムやダンパーなどでできた免震装置を設置し、建物に伝わる揺れを抑えます。具体的には、地震時の揺れを通常の3分の1から5分の1にまで軽減することが可能です。
冷蔵庫やタンスといった重い家具が建物内で移動・転倒するリスクも少なく、もっとも安全で耐震効果が高いといわれています。

耐震等級は間取りや費用にも影響する

地震に強い家は丈夫なつくりにする必要がある以上、構造の制約がかかります。間取りにこだわりがある場合、自分の希望がどこまで組み込めるかよく確認しなければなりません。

一般的に、耐震等級が上がるほど工事費用も高くなるといわれています。
耐震性能を高めるには壁や柱を増やし、枠組みを補強するなど構造を強固にする必要があるため、その分建築コストが増すのです。

等級1の建物に対して等級2では2.5%、等級3では5%の上昇が目安です。

加えて工事費用とは別に構造計算費や耐震等級の申請費・その他手数料などがプラスされるなど、全体にかかるコストが高くなる傾向にあります。

シンプルな形の家は地震に強い

地震に強い家の特徴として、建物の形と高さがあります。

上から見たときに正方形長方形になっているような、シンプルな形の家は地震に強いといわれています。
正方形や長方形の家は、家を囲む6つの面すべてが一体になっているため、揺れが発生した際に踏ん張って耐えることができます。
一方で壁面に凹凸があったり家の形がL字型だったりすると、地震の揺れが一点に集中しやすくなり、家が歪みやすくなってしまうのです。

また、3階建てのような縦に長い家は地震の際揺れやすいというデメリットも。平屋や2階建てなど低い高さの建物の方が地震に強い傾向があります。

地震に強い建物の構造はどれ?それぞれのメリット・デメリット

形と高さのほかに、建物の構造も耐震性に大きく関わってきます。
ここからは、鉄骨鉄筋コンクリート(RC造)木造のそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

鉄骨

鉄骨構造は、鉄骨の厚みが6mm未満の「軽量鉄骨」と鉄骨の厚みが6mm以上の「重量鉄骨」の2種類に分けられます。
どちらも揺れに強く倒壊しにくいのが特徴で、地震に強い構造といえるでしょう。鉄骨構造のメリットとデメリットを以下にまとめました。

鉄骨構造のメリット

【重量鉄骨】
・部材が工場で生産されるため品質にばらつきがない
・少ない柱で建てられ間取りの自由度が高い
・優れた耐火性・耐震性・耐久性を持つ

【軽量鉄骨】
・部材が工場で生産されるため品質にばらつきがない
・部材を工場で大量生産するため工期が短く済む
・軽いのに耐久性が高く、耐震性に優れている

鉄骨構造のデメリット

【重量鉄骨】
・気密性が高い分防錆処理をしないと鉄骨が錆びる
・通気性や断熱性が木造に劣る分夏は暑く冬は寒い
・強固な地盤が必要なため基礎工事や地盤改良のコストがかかる
・部材を大量生産できないので建築コストがかかる
【軽量鉄骨】
・気密性が高い分防錆処理をしないと鉄骨が錆びる
・通気性や断熱性が木造に劣る分夏は暑く冬は寒い
・熱に弱く、耐火性が高くないため耐火被覆の処理が必要

重量鉄骨も軽量鉄骨も耐震性は高いですが、錆びに弱く通気性が悪いというデメリットがあります。

鉄筋コンクリート(RC造)

鉄筋コンクリート(RC造)は、柱などの骨組みを鉄筋で組み上げて周囲を型枠で囲み、中にコンクリートを流し込む構法です。
耐久性の高さからマンションやビルなどに用いられる構造ですが、近年ではRC造の戸建て住宅も増えてきています。
鉄筋コンクリート(RC造)構造のメリットとデメリットを以下にまとめました。

鉄筋コンクリート(RC造)のメリット

  • ・すべての重量を面で支え、高い耐震性を誇る
  • ・耐火性が高く1000度の炎に数時間さらされても崩れない
  • ・断熱性に優れていて空調効率が高い
  • ・気密性に優れているので遮音性が高い
  • ・耐用年数が長く、長持ちする(法定耐用年数は47年)
  • ・曲線や円形も再現できてデザインの自由度が高い

鉄筋コンクリート(RC造)のデメリット

  • ・強固な地盤が必要で、基礎工事や地盤改良のコストがかかる
  • ・建築費用が高い(木造住宅の1.5倍~2倍ほど)
  • ・水分を吸収する分結露やカビが発生しやすい
  • ・外壁に経年による汚れが目立ちやすい
  • ・増改築や取り壊しがしにくい

鉄筋コンクリート(RC造)は、もっとも地震に強い構造な一方、建築コストが3つの中で一番高いという特徴があります。

木造

木造は、戸建て住宅にもっとも採用される構造です。柱と梁によって建物を支えるのが特徴で、耐力壁を設けたり、各部材の接合部に金物を使ったりして耐震性や耐久性を上げることができます。木造構造のメリットとデメリットを以下にまとめました。

木造のメリット

  • ・さまざまな間取りに対応できて自由度が高い
  • ・壁を抜いたり部屋をつなげたりなど、増改築やリフォームがしやすい
  • ・枠で建物を支えているので、窓口を大きくとれる

木造のデメリット

  • ・職人の知識・技術・経験によって品質にばらつきがある
  • ・現場での作業が多い分工期が長い

木造の住宅は3つの中では比較的建築コストが安く済みますが、耐震性は劣ります。耐力壁や接合金物の使用など、耐震性を上げるための工夫が必要です。

地震に強い家は「強固な地盤」と「頑丈な建物」が必要

地震に強い家とは、「強固な地盤」の上に「耐震性能に優れた建物」がある家です。このどちらが欠けても耐震性の高い家は建ちません。

耐震性を高めるために重要なポイントは、建物の基礎・構造と地盤です。

いくら建物が強固でも、地盤が弱いと建物が新耐震基準を満たしていても、震度6強~7程度の揺れで崩壊・倒壊してしまう可能性があるのです。

「地盤」には、建物の荷重をしっかり支えられる強度だけでなく、その土地が大規模地震の揺れに耐えられるかといった耐力も求められます。

脆弱な地盤は災害時に沈下や液状化する危険性がある

地盤が弱い土地は大規模地震が起こった際、沈下液状化といった被害が出る危険性があります。

どんなに建物の耐震性が高くても、土地自体が脆弱では意味がありません。地震に強い家を建てるには、地盤の補強も重要なステップなのです。

弱い地盤の場合は改良工事が必要になります。工事の要否は事前調査で判断でき、元々地盤が強い土地ならば工事をする必要はありません。

地盤が弱い土地でも、建物に耐震補強工事を施すのと同じように地盤改良工事を行えば、建築に適したレベルに強度を上げられます。ただしその際は建物の費用とは別に「地盤改良費用」がかかることを覚えておきましょう。

【関連記事】
地盤が弱い土地とは?地震に強い土地の選び方も解説

地盤改良工事は土地の特徴に適したものを選ぶ

地盤改良の工法にはいくつか種類があります。中でも多くの現場で採用されているのが、「表層改良工法」「柱状改良工法」「鋼管杭工法」の3つです。

どの工法を採用するかは土地の性質や使える重機の種類、建てる家の重量などに合わせて異なり、費用や工期もそれに伴い変動します。施工会社と相談して、土地の特徴に適した工法を選びましょう。

【関連記事】
地盤調査とは?費用相場や注意点を解説

地震に弱い家の特徴とは?

地震に強い家の特徴を見てきたところで、次は地震に弱い家の特徴を3つご紹介します。

ビルトインガレージのある家

ビルトインガレージのある家は、1階部分の道路側に壁がほとんどありません。開口部を広くとると、その分建物を支える壁や柱の部分が減ってしまいます。
そのため家全体のバランスが崩れやすくなり、耐震性が弱くなりやすいのです。

ビルトインガレージのある家を建てる場合、地震に強い鉄骨住宅RC造にするか、壁が少なくても強度を確保できる設計にすることをおすすめします。

吹き抜けのある家

リビングや玄関に大きな吹き抜けがある家は、柱や壁の量が少なくなる分、耐震性が弱くなります。
吹き抜けをつくる際は、重量鉄骨鉄筋コンクリート(RC造)の家にする、耐力壁を用いるなど、耐震設計を考える必要があります。

旧耐震基準の家

1981年以前の「旧耐震基準」にのっとって建てられた家は、震度6~7程度の巨大地震が発生した場合、倒壊するおそれがあります。特に2階建て以上の木造家屋は倒壊のリスクが非常に高いです。
もし現在旧耐震基準の家に住んでいたとしても、壁や柱を補強する耐震工事をほどこせば耐震性を上げることができます。
自治体の中には、古い家屋の倒壊チェック耐震工事の助成を行ってくれるところもあります。

まとめ|実際に家を建てた人のリアルな声を参考に

地震に強い家の特徴や、耐震構造についてご紹介しました。

耐震性について改まって学ぶのに抵抗がある、なかなか時間がとれないという場合、もっと身近な感覚で情報を得ることができます。

必ずしも自分たちの条件にそのまま当てはまるわけではなかったり、今では改善されている可能性もあるので、体験談をチェックした後は住宅会社に改めて確認しましょう。

「さまざまなケースを知って情報を集める体験談」「今現在の正確な情報は住宅会社」というように、それぞれをうまく活用すると見解が広がるでしょう。

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